プロジェクト課題と解決アプローチ 作成ルール
Project Issues and Approach Documentation Rules
本ドキュメントは、プロジェクト課題と解決アプローチ(Project Issues and Approach) を統一形式で記述するためのルールです。 関係者が「何が課題で、どれを、どう解く方針か(なぜその方針か)」を短時間で合意できる粒度に整えます。
1. 全体方針
- 本ルールの対象は プロジェクト課題と解決アプローチ(課題の整理と、採用アプローチの合意)です。
- 目的は「意思決定の前提を揃える」ことです。詳細な設計・実装・テスト設計は、本書の対象外とします。
- 曖昧表現(例:「適切に」「可能な限り」「十分に」)は避け、合意できる表現にします。
- “事実/観察” と “推測/仮説” を混ぜないでください(混ざる場合はラベルで区別)。
- 解決策は最低 2 案を候補として挙げ、採用理由を明記します(単一案の押し付けは禁止)。
2. 位置づけと用語定義
2.1. 位置づけ(他ドキュメントとの関係)
プロジェクト課題と解決アプローチと他ドキュメントの関係を示します。
2.2. 用語定義(本ルール内)
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 課題 | 困っている現象(観察できる問題)。解決策の先取り(例:「自動発注がない」)にしない |
| 影響 | 課題が放置された場合に起きる損失/リスク(業務・顧客・コスト・期日など) |
| 原因 | 課題の発生要因(事実と仮説を区別する) |
| 解決策候補 | 課題を解決するための案(複数案) |
| 判断軸 | 採否判断に使う観点(効果/コスト/期間/リスク/現場適合など) |
| 採用アプローチ | 採用する案と、その実行方針(なぜそれを選ぶかを含む) |
| トレードオフ | 採用の代償として失うもの/我慢するもの |
| リスク | 失敗/遅延/品質低下などの可能性と、その軽減策 |
| 次の検討事項(ToDo) | 未確定事項、追加調査、意思決定が必要な事項 |
3. ファイル命名・ID規則
3.1. 配置(推奨)
docs/ja/project-docs/prj-0001/のように、プロジェクト単位のフォルダ配下に配置します。- 配下の章フォルダは、原則として次を用います(構成は docs-structure-guide.md に従う)。
030-プロジェクト課題と解決アプローチ/
- 章フォルダには、該当ドキュメント以外に、課題と方針の根拠となる関連資料(図表、参考資料など)を置いてもよい。
3.2. ドキュメントID(推奨)
メタ情報(Frontmatter)を付ける場合、ID は一意である必要があります。
- 推奨:
prj-<projectNo>-issues-and-approach- 例:
prj-0001-issues-and-approach
- 例:
3.3. ファイル名(推奨)
ファイル名は日本語で可読性を優先し、ID は Frontmatter で担保します。
- 例:
030-プロジェクト課題と解決アプローチ-<プロジェクト名>.md
4. 推奨 Frontmatter 項目
4.1. 設定内容
- プロジェクト課題と解決アプローチでも、機械可読性が必要な場合は YAML Frontmatter を付与します。
- 参照スキーマ: docs/shared/schemas/spec-frontmatter.schema.yaml
- メタ情報ルール: meta-document-metadata-rules.md
| 項目 | 説明 | 必須 |
|---|---|---|
| id | prj-<projectNo>-issues-and-approach | ○ |
| type | project 固定 | ○ |
| title | プロジェクト課題と解決アプローチ: <プロジェクト名> | ○ |
| status | draft / ready / deprecated | ○ |
| based_on | 既存の経営方針・制度資料・過去 ADR | 任意 |
| supersedes | 置き換え関係 | 任意 |
4.2. 推奨ルール
based_onは、根拠として直接参照するものがある場合のみ列挙します(なければ[])。
4.3. 推奨例
yaml
---
id: prj-0001-issues-and-approach
type: project
title: プロジェクト課題と解決アプローチ: <プロジェクト名>
status: draft
based_on: []
supersedes: []
---5. 本文構成(標準テンプレ)
プロジェクト課題と解決アプローチは以下の見出し構成を 順序固定 で配置します。
5.1. プロジェクト課題と解決アプローチ(Project Issues and Approach)
| 番号 | 見出し | 必須 | 内容(要点) |
|---|---|---|---|
| 1 | 課題一覧 | ○ | 課題、影響、優先度(最小でも課題の列挙) |
| 2 | 原因(仮説でも可) | ○ | 課題の原因(事実と仮説を分ける) |
| 3 | 解決策候補 | ○ | 候補案(複数案が望ましい) |
| 4 | 採用アプローチと理由 | ○ | 採用案、採用理由、採用しない案と理由 |
| 5 | トレードオフ/リスク | 任意 | 代償、リスク、前提が崩れた場合の対応 |
| 6 | 次の検討事項(ToDo) | 任意 | 未確定事項、追加調査、意思決定が必要な事項等 |
6. 記述ガイド
6.1. 共通
- 見出し配下は「箇条書き+必要最小限の表」を基本とします。
- “事実/観察” と “推測/仮説” を混ぜないでください(混ざる場合はラベルで区別)。
- 読み手が「次に何を決めればよいか」が分かるように、未確定は未確定として明示します。
6.2. 課題一覧
- 課題は「困っている現象」を書き、解決策の先取り(例:「自動発注がない」)にしないでください。
- 各課題には、最低限「影響」と「優先度」を添えます。
- 推奨: 課題IDを振って、議論や ADR 参照に使えるようにします。
推奨(課題表):
| 課題ID | 課題 | 影響 | 優先度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| P-01 | High |
6.3. 原因(仮説でも可)
- 原因は分解して書きます(例: 情報不足、判断基準の不在、手順のばらつき、システム制約)。
- 事実として確認できているものと、推測/仮説を混ぜないでください。
6.4. 解決策候補
- 最低 2 案を候補として挙げます。
- 案ごとに「概要」と「期待できる効果」を 1〜3 行で書きます。
6.5. 採用アプローチと理由
- 採用案を明記し、採用理由を判断軸で説明します。
- 採用しない案がある場合は、採用しない理由も 1 行で添えます。
- 推奨: 判断軸(効果/コスト/期間/リスク/現場適合)のうち、今回重視する順序を示します。
6.6. トレードオフ/リスク(任意)
- トレードオフは「何を捨てる/先送りする/我慢するか」を明示します。
- リスクは「起きうること」と「軽減策」をセットで書きます。
6.7. 次の検討事項(ToDo)(任意)
- 次の意思決定に必要な情報(追加調査、確認事項、承認事項)を列挙します。
7. 禁止事項
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| 設計詳細(DB設計、API設計、画面詳細等) | プロダクト仕様/設計ドキュメントへ委譲 |
| “だいたい/適切に” 等の曖昧表現 | 合意・検証ができない |
| 課題を解決策の欠落として書く(例:「自動発注がない」) | 問題の同定ができず、手段が固定化する |
| 候補を 1 案しか出さない | 判断とトレードオフが不透明になる |
| 理由のない採用(判断軸が書かれていない) | 後から説明できず、意思決定がやり直しになる |
8. サンプル(最小)
yaml
---
id: prj-0001-issues-and-approach
type: project
title: プロジェクト課題と解決アプローチ: 駄菓子屋きぬや 店頭販売システムの構築
status: draft
based_on: []
supersedes: []
---8.1. 課題一覧
| 課題ID | 課題 | 影響 | 優先度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| P-01 | 人気商品の欠品が増えている | 機会損失が発生し、来店動機が下がる | High | 対象商品は後で合意 |
| P-02 | 仕入れ数量の判断が勘頼りで在庫ムラが大きい | 過剰在庫/廃棄、資金繰り悪化 | High | 棚卸頻度も影響 |
| P-03 | 「つけ(ツケ)」の残高が曖昧 | もめごと・回収漏れ・確認コスト | Medium | 現金と混在 |
| P-04 | 店主に判断が集中し、引き継ぎが難しい | 営業継続リスク、属人化 | Medium | 店番交代時に顕在化 |
8.2. 原因(仮説でも可)
- P-01/P-02: 仕入れ判断に必要な情報(売れ行き、現在庫、入荷リードタイム)が見える化されていない(事実)
- P-01/P-02: 判断基準が暗黙知で、棚卸・発注のタイミングが人によって揺れる(仮説)
- P-03: 「つけ」を記録する場所が統一されておらず、後で追えない(事実)
- P-04: 店主だけが在庫と顧客状況を把握しており、代替運用が定義されていない(事実)
8.3. 解決策候補
- 案A: 店頭で使える最小の販売登録+在庫/つけの記録を作り、毎日の記録を習慣化する
- 案B: まずは棚卸と発注のルール(手順書)を整備し、紙/表計算で運用を安定させる
- 案C: 外部のPOS/在庫サービスを導入し、標準機能で運用を置き換える
8.4. 採用アプローチと理由
- 採用: 案A(最小の記録システムを先に稼働させ、運用定着を優先する)
- 判断軸(優先順): 現場適合(継続できる) > 期間(早く回す) > コスト > リスク
- 採用理由:
- 日々の記録が続かないと、棚卸/発注の改善も継続できないため
- 外部サービスは運用が複雑になる可能性があり、初期はシンプルさを優先するため
- 採用しない案と理由:
- 案B: 記録の継続が属人化しやすく、改善が形骸化しやすい
- 案C: 導入/学習コストと運用の複雑さが初期目的に対して過大
8.5. トレードオフ/リスク(任意)
- トレードオフ: 初期リリースでは高度な分析や外部連携は扱わない(運用定着後に検討)
- リスク: 入力が増えて店頭負荷が上がり、記録が続かない可能性
- 軽減策: 入力項目を最小化し、店員の操作フローを先に検証する
8.6. 次の検討事項(ToDo)(任意)
- 対象商品の定義(人気商品とは何か)
- 棚卸の頻度と責任者
- 「つけ」を許容する運用ルール(上限、回収タイミング)
9. 生成 AI への指示テンプレート
生成 AI にプロジェクト課題と解決アプローチを作らせるときの指示テンプレートは prj-issues-and-approach-instruction.md を参照してください。